ST向けにリハビリの訓練教材を提供するシリーズです。
今回は「土産(みやげ)」みたいに特殊な読み方をする漢字を一覧にしたプリントです。
使い道はかなり限られると思いますが、失語の評価で急に必要になったりしますので、良かったらどうぞ。
リハビリテーションに携わる方が使用する前提で書いていますが、このプリントを使うことによって症状の改善を保証するものではありません。
どなた様も、仕様の際には必ず自己責任でお願い致します。
特殊読み漢字(熟字訓)のプリントの意義
ちょっと何に使うのか分かりにくいと思いますので、一応参考までに使用例を挙げていきます。
語義失語の評価
ここ10年くらいでかなりPPAの話題を見聞きするようになりました。PPAはいくつかの下位分類に分ける提案がなされており、その下位分類の鑑別には語義失語の有無が重要になります。
語義失語は単語そのものの知識の欠損や補間現象の消失が特徴的ですが、その他の重要な所見として類音性錯読というのがあります。
類音性錯読は「土産」のような特殊な読み方の熟語を「どさん」と音読みしてしまう症状です。このような特殊な読み方をする熟語(熟字訓と言います)については、その熟語についての知識が必要になりますが、類音性錯読を呈する方は意味レベルでの障害のために知識が欠落する(またはアクセスできなくなる)と考えられています。
そこで、類音性錯読を検出するために熟字訓を読んでもらうことはそれなりに有用な評価になり得ます。
ただし、「土産」「案山子」「境内」などの代表的な熟字訓は教育歴などによっては元々読めなかった可能性もあるので、これらが読めなかったから即、類音性錯読あり、とはなりません。
PPAは教科書で読むと簡単そうな印象ですが、実際に患者さんを目の前にすると意外と判断に迷います。類音性錯読の評価の助けとして、訓練室に一枚、簡単な熟字訓の一覧を用意しておくと安心です。

PPAP…?

それは関係ないです。
クイズ感覚で頭の体操として
結構読み方が難しい熟語も多いので、そういうのが好きな方はクイズ感覚でチャレンジしてみるのも良いかと。
言語能力というよりは、国語の知識が試される感じだと思います。
特殊読み漢字(熟字訓)のPDFプリント
と、いうわけでそのまま印刷して使える熟字訓のプリントです。
「健常者でも読めないだろ」という難しい熟語は除いて、約100語くらいです。
- 平仮名の答え付き(仮名)
- 音読用のリスト(リスト)
- 答えを書き込むスペース付き(テスト)
の3パターンがあり、それぞれに3種類の文字の大きさを用意しています。

以下のリンクをクリックするとPDFでファイルが開きますので、ご自由に(ただし自己責任で)お使いください。
おまけ:「生」の字の読み方一覧プリント
おまけですが、「生」という漢字の読み方がとても多様でおもしろいので、プリントにしました。
リハビリに使えるかは分かりませんが、ついでに置いておきます。
「生」の読み方が多いのは有名な話ですが、調べてみると160種類以上あるそうです…
地名とか名前を含めると、もう何でもアリ状態です。
ちなみに上記のツイートで「死」に関しては一種類しかないと紹介されていますが、「無駄死に(むだじに)」「討ち死に(うちじに)」などで濁音化するので、少なくとも2種類以上はありそうです。

野暮なこと言うなよ…

ごめんなさい。
おわりに
また老婆心で余計な説明を書いてしまいましたが、類音性錯読の件(くだり)は読み流してもらって結構です。
プリントは良かったら使ってください。もちろん全部無料ですから。
ただし、使用に際しては全て自己責任でお願いします。
何度も書きますが、リハビリでの使用に関して当方では一切の責任は負いかねますので、予めご了承ください。
それでは、この辺で失礼します。お疲れ様でしたー。
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